迷ってきた仔猫を捕まえようとお隣とのブロック塀によじ登った途端、バランスを崩して後ろ向きに倒れた。エアコンの室外機に頭頂部をブッツケて見事に切れた。
しかし、この室外機がなければ、まともにコンクリートの地面にたたきつけられていたに違いない。
一瞬の出来事なのに、倒れながら「おれも歳を取ったものだ」と思ったから人間の感覚とは不思議だ。
ちょうど居合わせた娘が、「パパが大変、ママ、タオル持ってきて!」と叫びながら、小高いブロック塀の上をつたって忍者みたいにやって来た。
幸いお隣はY外科医院である。引っ越して来て以来初めてのご挨拶をかねて、8cmの傷を縫って頂いた。