早川駅を過ぎて、根府川方面へと向かうと、車窓には太平洋の広がりが飛び込んでくる。
9月になっても、真夏と変わらないその日は、どんよりと湿度が高く、晴天ならば大島が浮かぶはずの水平線がまったくかすんでいて、空と海とがつながっていた。
手前の海の青さが水平線のあたりに向けて次第にうすくなり、そのまま空につながっていく。目を空の高みに転ずるほどに、また青さがましていく。大自然がおりなすグラデーションの眺望だ。
湯河原と小田原の往復のたびに、時どきにに変わる海を眺めるのが楽しみの一つとなった。