2019年10月20日日曜日

これこそが要だ

 主イエスは「神の国はわたしたちのただ中にある」と言う。そして身近な材料を用いて実にユーモアとウィットに富んだたとえ話を創作し、自らそれを語る。今の世界が過ぎ去らなければ新しい世界はやって来ないという終末論的な「神の国」の宣教とは一味違う。
 今日のたとえ話は神を畏れず、人を人とも思わない不正な裁判官が、訴えてきた寡婦を助けるという話だ。
 このたとえの意外性は、裁判官が彼女のために便宜を図ってやったその理由にある。うるさくてたまらないという人間的理由によって弱い立場の寡婦は救われたのだ。裁判官の胸の内など誰が知り得よう!「諦めず祈る」は無駄ではないどころか、これこそが要だ。
(ルカによる福音書18章1〜8節)