2023年7月9日日曜日

我らの国籍は天にあり

 南伊豆にある叔母の家を取り壊すことになった。

 叔母が南伊豆を離れて10年、天に召されて3年になって家はすっかり老朽化した。かつて叔母の三人の姉達や晩年の父がこの家に住んだ。この家は先祖の土地、お墓のある土地の一角に建っている。

 私の曽祖父はここで開業した。その病院と土地の絵図がパリ万博に出品されて紹介されている。しかし、祖父はキリスト教に改宗して家を捨てた。クリスチャンの両親から育てられた私の父はといえば「我らの国籍は天にあり」と土地や家には全く無頓着だった。

 叔母は先祖のお墓を大事に考えてここに家を建てた。だが、今や住む人はなく取り壊して、土地は国に権利を譲る予定だ。私たちの住むところは天にあるのだから。